ホーム  > お客様紹介 > 特別養護老人ホーム和気広虫荘

お客様訪問

「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業に採択され、改修費の3分の2が国から補助されました。省エネ性が高いだけでなく、利用者がより快適に過ごせる建物にできました」特別養護老人ホーム和気広虫荘 施設長 山本寛氏
岡山県和気郡和気町の特別養護老人ホーム和気広虫荘では、2017年、築41年の建物の空調・換気・給湯・照明を含む省エネ改修が、経済産業省の「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業」に採択されました。施設長の山本寛氏に、ZEB化を実施した経緯、および施工を担当したダイキンエアテクノへの評価をうかがいました。
目次
 1. 国の補助金を活用し、築41年の特別養護老人ホームを省エネ改修
 2. 給湯分が加わっても電気代は安く。ガス代は2/3から半分近くまで減少
 3. 前回の空調更新から16年が過ぎ、交換部品が入手できなくなり始めていた
 4. タイトな工期の複合工事でも、利用者に迷惑をかけない工事ができた
 5. ZEBプランナーの岡山応用科学 井上猛氏にもうかがいました

特別養護老人ホーム和気広虫荘
定員100名。社会福祉法人広虫荘が1976年に開設。軽費老人ホーム「ケアハウスわけ」(定員30名)およびグループホーム「グループホームひろむし」(定員18名)を併設。系列の特定医療法人紀典会 北川病院を協力病院とする。

国の補助金を活用し、築41年の特別養護老人ホームを省エネ改修

特別養護老人ホーム和気広虫荘

― 今回省エネ改修したのはどのような建物ですか。

今回省エネ改修したのは、築41年、延床面積2,500m²、一部2階建の特別養護老人ホームです。

― どのような改修を行いましたか。

空調、換気、給湯、および照明を、省エネ性の高い最新機器に更新しました。併せて、建物全体を高断熱化しました。また、省エネと快適性を両立した空調・照明制御や、データの蓄積・分析等を実現する、BEMS(ビルエネルギー管理システム)も導入しました。

省エネ改修の概要は次のとおりです。

今回の省エネ改修の概要
空調
  • 人感センサーと輻射熱センサーにより人の活動量を感知・予測し、風向・風量・温度を室内機単位で制御する高効率インバーター空調機に更新
  • BEMS連携機能により、建物内の不快指数に応じて室内機の運転・停止を自動制御
換気
  • 全熱交換器を導入。熱回収の他に、ナイトパージ機能とCO2制御を搭載し、室内機と連携して高い省エネ性能を発揮する
  • 共用部等の24時間作動している換気扇を、DCブラシレス化された換気扇に更新
給湯
  • 高効率給湯設備(エコキュート)を導入
  • 潜熱回収型(熱効率95%)ガス給湯器を導入
照明
  • 施設内のFLR型の照明器具を全てLED化
  • EMS連携機能により、自動調光・点灯スケジュール等を無線制御
建物
  • 屋根上に厚さ25mmの断熱材を施工
  • 窓ガラスに複層(Low-E)真空ガラスを導入(他社施工)
BEMS
  • 各種データ(温湿度センサー測定値・消費電力)を蓄積・分析。制御値を自動更新・最適化

今回の省エネ改修は、経済産業省の「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業」(※)に採択され、改修費の3分の2が国から補助されました。

※ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)
省エネおよび創エネ(太陽光発電等)により、室内外の環境品質を低下させることなく、年間一次エネルギー消費量を正味(ネット)でゼロまたはおおむねゼロにした建築物。年間一次エネルギー消費量(積算値)の削減率に応じて、次の3ランクが定義されている。
ZEB(ゼブ) 対基準値で100%以上削減
Nearly ZEB(ニアリー・ゼブ) 同75%以上削減
ZEB Ready(ゼブ・レディ) 同50%以上削減

また、この建物は竣工から41年を経過して随所に傷みが出ていましたので、補助金の対象となった省エネ改修とは別に、外壁の再塗装や床の張替などの改修も併せて実施しました。

工期は2017年10月~2018年1月でした。

給湯分が加わっても電気代は安く。ガス代は2/3から半分近くまで減少

― 改修の効果をうかがいます。まず省エネ効果はいかがでしたか。

電気とガスのメーターが、改修前は併設の軽費老人ホームおよびグループホームと共用だったため、エネルギー使用量の変化を正確に測れないのですが、工事完了から半年の現時点でも、省エネ効果を示す数字はいくつか出ています。

まず、給湯がガス主体から電気(エコキュート)主体になったことで、ガス代がこの2月は昨年のおよそ3分の2になり、4月は昨年の半分近くまで減りました。

電気代は、給湯分が加わったにもかかわらず、昨年よりむしろ安くなっています。

今年の夏は、いつもより暑さが厳しい日が続いています。しかし空調効率や建物全体の断熱効果が上がったおかげで、昨夏までより1~2℃高い空調設定でも、十分快適な室内環境を維持できています。

空調機の馬力は改修前よりひと回り小さくしたのですが、空調の効きに不足を感じることはありません。

― 使い勝手の面はいかがですか。

特に施設全体の空調を集中自動制御できるようになった点が、大きなメリットとして感じられます。

室温設定は各部屋のリモコンでも変更できるのですが、一定時間が経過すると元の室温設定に戻るようにしてあります。体を絶えず動かしている職員や家族の方が冷房の設定をされると、ほぼ寝たまま・座ったままでいる利用者の方にとっては、寒すぎる室温になってしまうことがあります。空調を自動制御できるようになったことで、利用者の方々の快適・健康をより中心に据えた室内環境管理ができるようになりました。

各部屋の空調の運転状況を、事務室から確認・制御できるようになったのも助かります。

― 他にはいかがでしょう。

壁も床もきれいになり、外観的にも気持ちのよい建物になりました。省エネだけでなく、利用者の生活の質の向上にも貢献する改修ができました。

改修後の建物内
食堂・機能回復室
床も張り替えられ美しくなった廊下
各居室の天井に設置された全熱交換器
居室には室内機/室外機が1対1のパッケージエアコンを導入
事務室で空調・照明を集中監視・制御できるようになった
「ZEB Ready」ランクの省エネ性能を認定するBELSプレート

前回の空調更新から16年が過ぎ、交換部品が入手できなくなり始めていた

「過去の経験から、故障が少ないメーカーの空調を希望しました」(山本施設長)

― この建物の空調を更新したのは何年ぶりでしたか。

18年ぶりの空調更新でした。

― いつ頃から空調更新の必要性を感じていましたか。

3年前頃からです。前回の更新から16年が過ぎ、故障したときメンテナンス業者から「交換部品の製造が打ち切られていて、そろそろ在庫がなくなります」と教えられたことがきっかけでした。

― ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)化に着手した経緯を教えてください。

空調更新の予算を組む叩き台として、改修業者1社から見積りを取りました。提示された費用は、当施設の予算規模からすると、かなり高額でした。そこで利用できる補助金がないか調べたところ、建物の省エネ改修を対象とする補助金がいくつかあり、交付対象に採択されると、高効率な空調への更新も省エネ改修の一環として行えることがわかりました。

「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業」のことは、系列の病院が前年に申請し、採択されたことで知りました。この補助金は他の補助金より交付基準が厳しく、採択件数も限られていましたが、最大で対象経費の3分の2の補助が受けられる点が魅力でした。ZEB化に取り組むことで、施設の居住環境を向上させると同時に、消費エネルギーと光熱費の大幅な削減も達成できると考えました。

「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業」に採択されるためには、認証機関に登録されたZEBプランナーが、改修の計画、実施、評価に関与することが条件とされています。ZEBプランナーとしては、系列病院のZEB化でお世話になった有限会社岡山応用科学(岡山県倉敷市)の井上猛氏に、プランニングを依頼しました。

― 改修プランを作るにあたり、ZEBプランナーに要望したことはありますか。

空調メーカーに関しては、過去に使って故障が少なかった国内2社(ダイキンを含む)のいずれかにすることを希望しました。

居室等の空調は、複数の室内機で1台の室外機を共用するマルチエアコンではなく、室内機と室外機が1対1のパッケージエアコンにしてもらいました。初期費用はマルチエアコンより高くなりますが、ユニット交換が必要になったときの交換範囲を狭められるので、長期的にはコスト節約になると判断しました。

タイトな工期の複合工事でも、利用者に迷惑をかけない工事ができた

「今後もよろしくお願いいたします」(右:ダイキンエアテクノ 担当 西澤昇吾)

― 今回のZEB化改修では、空調、換気、給湯、照明の更新、天井断熱、外壁塗装、床張替の施工、およびBEMSの導入をダイキンエアテクノに依頼されています。ダイキンエアテクノの施工へのご評価をお聞かせください。

工期がタイトな中、利用者のみなさんに迷惑がかからないように工事スケジュールを組み、無事工事を完了していただけたことに感謝しています。

今回の補助金は、1月末までに工事が完了し支払いが済んでいることが、交付の条件となっていました。補助金の交付決定は8月中旬で、それから実施設計や業者選定を行うので、着工はどんなに急いでも10月という状況でした。

要介護の高齢者の方々100名が24時間365日生活している施設で、複数の大掛かりな改修工事を、この工期でトラブルなく完了できる施工会社は、ダイキンエアテクノの他にそうなかったと思います。

― 工事の進め方は、どのように決めていきましたか。

ダイキンエアテクノの担当者に、食事や入浴などの時間を踏まえた部屋ごとの工事時間の希望を伝え、叩き台を作ってもらいました。叩き台を各部署に下ろし、細かい希望を集約した上で、工事スケジュールに反映してもらいました。工事が始まってからは、ダイキンエアテクノの担当者が「次はこの部屋をやりますが、大丈夫ですか?」と、1週ごと・1日ごとに翌週・翌日のスケジュールを確認してくれました。

― 工事期間中のダイキンエアテクノの対応はいかがでしたか。

今回現場の管理を担当されたダイキンエアテクノ社員の方は、介護福祉の資格もお持ちとのことで、高齢者の方々への細やかな配慮が印象的でした。当日体調の悪い方が出るなどして、スケジュールの変更をお願いしたときも、臨機応変に対応していただけて助かりました。資材の置き場所なども、利用者の方々の移動の妨げにならないようにきちんと配慮されていました。

― 最後に、空調更新を検討されている介護施設の方へ、何かアドバイスがあればお願いします。

省エネ改修の効果や利用できる補助金については、ダイキンエアテクノの担当者に一度詳しく聞いてみることをお勧めします。

ZEBプランナーの岡山応用科学 井上猛氏にもうかがいました

岡山応用科学
井上猛氏

― 今回のZEBプランニングのポイントを教えてください。

今回は40年以上前の建物で、もともとの断熱性が低かったので、基準を満たす削減率を達成するプランを作るのに苦労しました。

特にこの建物は平屋部分がほとんどなので、屋根からの太陽熱がほとんど緩和されないまま、ほぼすべての部屋に侵入します。天井裏の配管が多いため、グラスウールを入れるのも困難でした。そこで屋根上に厚さ25mmの断熱材を敷き詰め、その上にルーフィングすることで、「ZEB Ready」の要件である50%以上の削減率を達成しました。

空調と連動して作動する全熱交換器も、空調効率の大幅な向上に貢献しています。

― 省エネ改修を検討している方へアドバイスがあればお願いします。

窓ガラスの断熱性強化は、省エネだけでなく、空調の寿命延伸にも貢献すると思います。空調更新と併せて窓断熱を施工した建物を8年前から見ていますが、通常は空調に不具合が起き始める時期が来ても、まったく不具合が起きていません。

お話をうかがった方

特別養護老人ホーム和気広虫荘 施設長 山本寛氏: 1983年大学商学部卒業。経理専門学校修了後、1984年2月社会福祉法人広虫荘入職。特別養護老人ホーム広虫荘(岡山県赤磐市)勤務を経て、2012年4月より特別養護老人ホーム和気広虫荘施設長代理兼事務長。同10月より現職。

特別養護老人ホーム和気広虫荘様より

今回の改修で、入居者のみなさんが健康に1年でも長く生活していただける環境を、設備面からも整えることができました。BEMSにより得られたデータは、今後当施設の省エネルギーの取り組みに役立てるだけでなく、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実現に役立てていただくべく関係諸機関に提供させていただきます。和気広虫荘は、今後も「笑顔・喜び・支え合い」を基本理念に、スタッフ一同真心込めたケアを提供して参ります。

ダイキンエアテクノ担当より

山本施設長、今回はお忙しい中貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。利用者のみなさま・職員のみなさまに大きなご迷惑をおかけすることなく工事を無事完了でき、私もうれしく思っております。今後もダイキンエアテクノをよろしくお願いいたします。
(ダイキンエアテクノ中国支店 岡山営業所 営業 西澤昇吾)
山本施設長、ならびにスタッフのみなさま、工事期間中は大変ご協力いただきましてありがとうございました。みなさまのご理解・ご協力により無事完了できました。今後もダイキンエアテクノをよろしくお願いいたします。
(同 工事 平坂純)
 
今回の工事の概況
 
建物:
介護施設(鉄筋コンクリート造、地上2階、延床面積2,500m²)
 
工事内容:
ZEB化改修
 
工期:
2017年10月~2018年1月


※ 取材日:2018年7月
 
この事例の業種、サービスについて詳しくみる

業種:福祉施設

サービス:省エネ改修補助金

まずはお気軽にお問い合わせください。


最寄りの事業所をお選び頂きお問い合わせください。

home ページトップ